私たちは知らぬ間に油漬けにされている
ミネラル不足と同じくらい大きな問題として挙げられるのが、「サラダ油の過剰摂取」です。
現代人の摂取している油がいかに健康を害しているか − その説明に入る前に、いかに私たちが、私たちの知らないところで相当量の油を口にさせられているかについて紹介しましょう。
これは私が以前、某有名ファミリーレストランで朝食を食べたときの話ですが、出されたシャケがあまりに脂が乗っていたので、「これ、ものすごい脂ですね」と聞いたことがあります。
するとウエイトレスの女性が「ええ、前日から油につけてありますから」と答えたので唖然としてしまいました。
それが体に悪いことだと気づいていないのも驚きですが、こういう店ではシャケをサラダ油に漬け込んでおくものだということを、このとき初めて知りました。
また、みなさんは外食でネギトロ井を食べたことがあるでしょうか?
ネギトロ井に使われているマグロの多くは、実は脂身のないパサパサの輸入物です。
ところが、それにサラダ油を混ぜてトロのような味に仕上げているのです。
まだあります。
みなさんがもしお店で焼き鳥を食べるときには、ぜひ焼いているところを観察してみてください。
多くの店では、霧吹きでサラダ油をかけているはずです。
また、最近は豚骨ラーメンが人気ですが、あのギトギトの油はスープに業務用の酸化したラードをあとからたっぷり加えています。
本来、豚骨ラーメンというのは、豚骨を煮込んで出したスープのはずですが、私たちが食べている豚骨ラーメンの多くはそうではないのです。
また、ラーメンはものすごい量の化学調味料を入れている店が多いのも問題です。
私たちは、食生活の欧米化とともに油の摂取量が非常に増えていますが、それに加えて、自分たちの知らないところでも実はものすごい量の油が使われているのです。
前記はごく一例だと考えてください。
「油の摂りすぎはよくない」ということは、おそらく多くの人が認識していることだと思います。
しかし、外食や加工食品を摂っているかぎり、油の摂取量を減らすのは不可能です。
そして油の過剰摂取がどれほど問題かということを、私たちはもっと知る必要があります。
オメガ6の過剰摂取が子どもたちに与える恐怖
それではここで、脂質について簡単に勉強しましょう。
脂質の主な構成成分となっているのは「脂肪酸」です。
脂肪酸は炭素と水素と酸素からできており、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。
液体のような脂肪酸である不飽和脂肪酸は、以前はひとくくりにされていましたが、現在は炭素同士がどこで二重結合しているかと形状上の違いで、3種類に分けて考えられるようになりました。
不飽和脂肪酸のうち、二重結合が1ヶ所のものがモノ(単価)不飽和脂肪酸で、オメガ9と呼ばれます。
これに対し、二重結合が2ヶ所以上のものを多価脂肪酸といいます。
これは炭素原子の終わりから何番目が二重結合しているかでさらに2種類に分かれ、終わりから3番目のものがオメガ3、6番目のものがオメガ6です。
つまり、不飽和脂肪酸はオメガ3、オメガ6、オメガ9の3種類に分けられます。
オメガ3は、α−リノレン酸、EPA、DHAなどで、亜麻仁油、シソ油といった油脂に多く含まれています。
オメガ6は、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸などで、多く含む油脂としては紅花油やヒマワリ油、大豆油、コーン油、綿実油、月見草油など、オメガ9はオレイン酸で、多く含む油脂としてはオリーブ油、菜種(キヤノーラ)油などが挙げられます。
ちなみに、サラダ油と呼ばれるものは、大豆油やコーン油、菜種油、オリーブ油、綿実油などから数種類をブレンドしたものですから、オメガ6が主体になります。
脂肪を上手に摂取するには、このなかでオメガ3と6のバランスが非常に重要になります。
その割合を、1対1に保てればよいのですが、1対2〜1対3ぐらいまでは許容範囲といえるでしょう。
ここでみなさんにとくに知っていただきたいことは、このオメガ3とオメガ6の脂肪酸が私たちの体内で、自律神経 交感神経と副交感神経)とホルモンの調節をするという、とても大切な役割を担っていることです。
日本人はもともと油を多量に摂取することはなく、油といえばオメガ3を多く含む魚中心の食生活でしたが、ここ数十年で魚の摂取量は大幅に減り、前述のように油漬けの食生活になってしまったことで、現在では1対10くらいのオメガ6過剰摂取の状態になってしまっています。
オメガ3は、脳細胞や神経細胞、生殖細胞、網膜、副腎などの形成に不可欠とされています。
これが適切に供給されず、オメガ6ばかりになってしまったらどうなるでしょうか?
以前の記事で「キレる」子どもの原因として、ミネラル・ビタミン不足を挙げましたが、この油の問題も原因のひとつではないかと思われます。
また、オメガ6の過剰摂取は、アトピーや喘息、関節炎、リウマチなどの一因ともいわれています。
今から40年前、日本でのイワシの漁獲高は460万トンありましたが、2000年はわずか12万トンでした。
この差もガンや心臓病、アトピー、喘息、関節リウマチなどの患者数の増加と大いに関係があるのではないでしょうか。
さらに、オメガ6のリノール酸は酸化が激しく、これを体内に摂り入れると活性酸素が暴れる環境をわざわざつくることになってしまいます。
今でも忘れることができませんが、1984年6月6日、NHK朝のニュースで恐ろしい事実が報道されていました。
交通事故死をしてしまった子どもたち約400人を北里大学が解剖したところ、5歳児55人中42人(76%)に動脈硬化がみられたというのです。
さらに10歳以上では100%、つまり全員が動脈硬化という結果でした。
この一番の原因と考えられるのが、酸化した油です。
私たちは生まれながらにこうした害のある食生活を強いられ、結果5歳ですでに病気になっているのです。
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