みなさんの知らない栄養の可能性と怖さ
受胎の瞬間から栄養が人生のシナリオにかかわる
栄養についてお話しする前に、みなさんに考えてもらいたいことがあります。
みなさんがこの世に誕生した日 - それはいつのことでしょうか?
母親の胎内から顔を出し、病院で「オギャー」と産声をあげたときでしょうか?
もしみなさんがその日を想像したとしたら、このことをぜひ覚えておいてください。
私たちの素晴らしい人生は、受胎の瞬間からすでに始まっているのだということを。
私たち人間の男性は、一回の性交で数千万から数億の精子を射精するといわれています。
そしてそれら膨大な数の精子は、みんなで力を合わせて子宮を進み、さまざまな障害(あるものは免疫細胞につかまって殺され、またあるものは繊毛に進行を阻まれて力尽きる)をくぐり抜け、生き残ったわずか数百ほどの精子が、受精の場である卵管膨大部に達します。
そこから今度は、卵子を取り囲む膜を、みんなで一丸となって溶かして進み、最後に受精できるのはたった一匹の精子です。
この受精の瞬間、私たちの人生は始まるのです。
さて、それでは「受胎の瞬間に人生が始まる」とはどういうことでしょうか。
ここで、ロジャー・ウイリアムス博士の言葉を紹介したいと思います。
「私たちの身体は、自分が食べたもの、飲んだもの以外のものからは何ひとつ創られません。 これは学問的に真実です」
私たちの身体を構成するすべての細胞は、私たちの摂取した栄養が生み出したものです。
これは、父親の精子や母親の卵子についても変わりません。
そして受精した瞬間、新しい栄養のシナリオの舞台がセットされるのです。
そして、ロジャー・ウイリアムス博士はこうも言っています。
「受精した卵細胞は新しい生命の青写真といえるだろう」と。
「しかしまだ計画の段階で、すべての構築が青写真に従って進むわけではない、もし母親となる人が非常に偏った栄養を摂ってしまえば、原料を供給できなかったり、あるいは完全につくることができなくなる。
その結果、流産や死産、奇形児や未熟児、早期出産などをもたらすことになるだろう」と。
ここではまず、その事実を端的に示すいくつかの実験報告を紹介したいと思います。
以下は、ロジャー・ウイリアムス博士の著書『からだの機能を開発する あなたの中のすばらしい世界』(泉谷希光監訳/中央公論社)からの引用です。
ビタミンAは、はじめにラットの成長と発育に必須であることが発見されました。
次に述べる実験は、たくさん子を産む雌豚で行わなければなりませんでした。
妊娠初期の雌豚にビタミンA欠乏の食餌を与えました。
11匹の腹の中の赤ちゃん豚はみんな眼球なしに生まれました。
また他の異常も見つかりました。
口蓋裂、辰口裂、耳の奇形、腎細胞の扁平異常などです。
研究者たちはビタミンAの欠乏だけでこの異常が生じるかどうかを確かめるために、同じ動物の2度目の妊娠前にビタミンAを大量に加えた餌を与えました。
その結果は劇的でした。
腹の子にはまったく異常はありませんでした(ラットが最もよい状態で繁殖するには、単に平均的な健康と正常な視力を維持するための必要な量の20倍ものビタミンAを必要とすることに注目してみると輿味があります)。
幸いにも人間では、妊娠中の母親が雌豚に与えたようなビタミンA欠乏の食事をとるようなことは、おそらくありません。(*今の日本ではおおいにあり得ます)
しかし、もしビタミンAのひどい欠乏が眼球欠損のような恐ろしい奇形の原因となり得るとしたら、軽い欠乏(しばしば生じている)は、明らかに重大な問題にならないにしても遂には重大な問題を引き起こすような欠陥の原因になる可能性が十分あります。
食物が不十分であると、結果として異常な繁殖をすることが、多くの動物実験で証明されています。
たとえばラットを使った実験で、健康な雌のラットが子を産むときに、ラットに必要なすべてのものからパントテン酸(成長と生命維持の化学物質の一つ)を除いたものを与えると、まったく子供を産まないことを科学者たちはみつけました。
雌のラットの卵子は受精され、発育が始まりましたが、決して完全なものにはなりませんでした。
健康な雌のラットの別のグループに、不適当というほどではないが少量のパントテン酸を与えると、40%が胎児を宿しました。
しかし、半分はひどい奇形でした。
さらに、もう一つ他のグループに多量(しかし、まだ、最適より少ない量)に与えると、95%が子を産み、そのごく少数だけが奇形でした。
実験から、多数の異なった奇形は葉酸の欠乏の結果であることが明らかになっています。
ある場合には、生まれてきた動物の95%が軽い欠乏の結果、奇形になります(葉酸が供給されなければ、子供は生まれません)。
ラットでは、14種類の骨格の奇形が、葉酸欠乏の結果として観察されています。
心臓と血管もまた奇形であるかもしれません。
時々、頭のない動物が生まれます。
時には、頭蓋骨の外部に脳があります。
また、ホルモンを生産する腺が奇形であったり、まったくなかったりすることもあります。
11頭のお母さん豚が出産する際、妊娠時からビタミンAを摂らずにいたら、生まれてきた赤ちゃん豚すべてが眼球を持っていなかった - この実験報告を聞いて、ビタミンAの重要性を痛感しない人はおそらくいないと思います。
今、日本の奇形児で多いのは、目がひとつしかない単眼症と、脳がない状態で生まれてくる無脳症です。
無脳症や未熟児の最大の原因は葉酸欠乏で、アメリカでは今から十数年前にl日400μg摂取するように勧告が出ています。
しかし、ここでみなさんに一番知っていただきたいことは、ビタミンAが、葉酸が、パントテン酸がいかに重要か、ということではありません。
「たったひとつの栄養素が欠乏しただけで」こうした恐ろしい結果を招くということです。
日本の平成16年の死産数は、厚生労働省の発表によると3万4372人にのぼります。
また、1歳未満の乳児死亡数の死因でもっとも多いのは「先天性奇形、変形および染色体異常」で、全体の約4割を占めています。
しかしこれはあくまで表面上のもので、実態はさらにひどいのが現状です。
たとえば、超音波技術の発達とともに(表面上の数字は)無脳症などが減少していますが、これは単に妊娠初期に判明した奇形による人工中絶が増加しているためなのです。
これらの原因が母親の食事にあるかもしれないということを、いったいどれだけの方がご存知でしょうか?
それほど大切な、私たちの身体そのものといってもいい栄義のことを、なぜ私たちはほとんど教えられていないのでしょうか?
日本で栄養というと、糖質・脂質・タンパク質といったカロリー源のことばかりで、後に詳しく紹介するミネラルやビタミン、必須脂肪酸、植物栄養物質(食物繊維など)などについての知識はさらに乏しいのが現状です。
しかし細胞そのものを正常に代謝させるには、こうしたものが何よりも重要なのです。
私たち日本人の食生活は、高度経済成長期を経て一見豊かになったように見えます。
しかし実は豊かになったのはカロリー源だけで、とくにミネラル・ビタミン不足は深刻な状況になっています。
食生活の変化に加え、食材ひとつひとつの栄養素が今と昔では全然違うのです。
現代の日本の食環境は、残念ながら栄養の知識がなくてもそれなりにバランスのとれた食事を摂取できるような状態ではとてもありません。
だからこそ、本来であればサプリメントによる栄養の補足は有効な手段となりうるはずですが、そこに落とし穴があります。
私たちはあまりにも栄養についての教育を受けず、無知であるために、「○○がよい! ○○が効く!」というセールスに簡単に振り回されてはお金を奪われ、健康を奪われているのです。
必要な栄養を摂り入れた身体は、驚くほど明確に応答します。
もし何かサプリメントを摂り入れて、3ヶ月の間にたいした反応を身体に感じなければ、見直す必要があります。
私たちは栄養について、もっともっと学ばなければならないのです。
当サイトではみなさんの知らない栄養の可能性と怖さについてお話ししたいと思います。
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