ビタミンよりさらに重要なミネラル
栄養素に関する基礎知識をおさらいしてみましょう。
生命活動に必要な栄養素のうち、量的に最も多いのが「三大栄養素」と呼ばれるタンパク質、脂質、糖質(炭水化物)です。
これにビタミンとミネラルを加えた5つが「五大栄養素」で、1970年頃から健康に欠かせない重要な栄養素として認められるようになった食物繊維を「第六の栄養素」と呼ぶこともあります。
さらに1980年以降、ポリフェノールやカテキンなどといった「植物栄養物質」が次々と台頭してくるわけですが、これについては別のところで詳しく紹介します。
さて、これらのうち三大栄養素は体内で主にエネルギーとなり、体の活動を支えます。
タンパク質はほかにも、臓器や筋肉などの構成成分となって働きます。
一方、ビタミンとミネラルは、三大栄養素のようなエネルギー源ではありません。
三大栄養素などほかの栄養素がスムーズに働けるように、体のさまざまな機能を調節するための栄養素です。
量的には三大栄養素に比べるとごくわずかですが、「少量でも生命維持に欠かせない」役割を果たしているため、ビタミンとミネラルをひとくくりにして「微量栄養素」と呼ぶこともあります。
ビタミンとミネラルの違いは、ビタミンが複数の元素から構成される有機化合物であるのに対し、ミネラルは1種類の元素そのものだということです。
元素とは、地球上のあらゆる物質を化学的に分解していったとき、最後に得られる最小単位の要素で、地球上には111種類の元素が存在しています。
人間の体を構成する元としては、現在、約30種類がわかっていますが、このうち人体の約95%は酸素、炭素、水素、窒素でできているため、これら4元素を「主要元素」といいます。
残りの約5%が「微量元素」で、これを栄養学では「ミネラル」「無機質」と呼んでいます。
また、人が亡くなって火葬されると、体内の4元素は水と煙になります。
残った遺骨という「灰」はミネラルです。
このようなことから、ミネラルは「灰分」とも呼ばれます。
微量元素と総称されるミネラルですが、そのなかでさらに「準主要元素」と「微量元素」に分けられることもあります。
人体に3〜4%ずつ含まれているカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、塩素が「準主要元素」、
0.02%ほどの鉄、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト、フッ素、ケイ素などが「微量元素」です。
ビタミンもミネラルも、人間の体に非常に重要な栄養素であることは、すでに紹介した通りですが、ミネラルにはビタミン以上に摂取を心がけなければならない理由があります。
なぜなら、ビタミンは体内で合成することができるのに対し、物質の最小単位である「元素」のミネラルは合成のしようがなく、体外から摂取するしかないのです。
たとえばビタミン B3やB5が腸内細菌によって合成できるように、ビタミンは体内でも生成されます。
これに対し、ミネラルは人間のみならずほかの動物も植物も、自分の体内でつくることはできないのです。
近年、ビタミンの重要性は日本でも多くの人に知られるようになりましたが、そのビタミンがミネラルによってコントロールされていると知っている人は少ないのではないでしょうか。
ビタミンが欠けても、体内ではミネラルがある程度まで、ビタミンの役割を代行することができます。
しかしミネラルが欠けると、ビタミンは正常な機能を果たせなくなってしまうのです。
マクガバン・レポートが発表されたのち、アメリカ議会がミネラルの欠乏問題を議題にしたことがあります。
実際、議会記録ナンバー264には次のように書かれています。
「わが国の主導的な権威者たちの報告では、アメリカ国民の99%がミネラルの欠乏に陥っている。
ミネラルはバランスが壊れても、わずか何種類かのミネラルが欠けても、体が要求する量は顕微鏡的な微量にすぎないにもかかわらず、われわれは病気になり、苦しみ、生命を縮めるのである。(中略)
明らかにタンパク質や糖質、脂質、ビタミンよりも、人体の健康はより直接的に、ミネラルによって左右されているのである」
ミネラルがなければ体内の酵素は働かない
ミネラルの最も重要な仕事は、約2000種といわれる酵素の反応に、補酵素(または酵素活性基)としてかかわっていることです。
「酵素」と聞くと、洗剤や歯磨き粉を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、酵素とは、体内のさまざまな反応を促進させるような触媒の働きを持っている、タンパク質とミネラルで合成された物質を指します。
ここで、三大栄養素がエネルギーになるときの作用を例にとってみましょう。
タンパク質や脂肪、炭水化物などは、食べてすぐ体の組織の成分になったり、エネルギー源になったりするわけではありません。
分解、吸収という作業を経て初めて、体の組織成分やエネルギーとして働くことができるのです。
タンパク質の場合はアミノ酸に分解されて体の組織をつくりますが、仮にこの作用を試験管で行おうとすると、高温と酸と24時間もの長い時間が必要になります。
しかし私たちの体は、同じ作業をおよそ4時間で行うことができます。
私たちの体がこのように能率よく化学反応を起こすことができるのは、体のなかで何千種類もの酵素が働いているからです。
たとえば口の中の唾液には、デンプンを溶かすアミラーゼという消化酵素が含まれています。
胃液にはタンパク質を溶かすペプシンという消化酵素が含まれています。
十二指腸では胆汁のなかのリパーゼという消化酵素が、脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解します。
膵液には胃で消化しきれなかったデンプンを溶かすペプチターゼや、タンパク質を溶かすトリプシンなどの消化酵素があります。
食べ物はこうして十二指腸までに分解消化され、次の小腸で体に吸収されることになります。
しかし、これらの消化酵素は、ミネラルが含まれていなければまったく働きません。
リパーゼやペプチターゼの補酵素として欠かせないのは亜鉛、クロム、その他の微量ミネラルです。
ほかにもマグネシウムのように、生命活動に大切な約300種もの酵素反応に欠かせないミネラルもあります。
酵素はこのように生命活動を代行するような働きをしているので、パスツール博士の時代には、「生命なしに酵素なし」といわれていました。
つまり人が生きている限り、酵素は体内でひとりでに働いているという考え方です。
しかしその後の研究により、酵素を活性化するミネラルの働きがわかりました。
酵素反応が起きるときに、ミネラルが消化されるのです。
酵素が順調に働けば、体内のさまざまな反応が迅速に行われ、体の新陳代謝がスムーズになり健康を維持できます。
しかしその酵素は、ミネラルが欠乏すると正常に機能しなくなります。
また、酵素をつくったり、役目を終えた酵素を分解したりするときにも、ミネラルはなくてはならない栄養素なのです。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:ミネラル
トラックバック(0)
http://blog.shigoto-shikaku.com/mt/mt-tb.cgi/6097


